森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア活動、観光など、海外 旅行のための予防接種や健康相談などを専門に行っています。

感染症情報

土壌から感染する病気

破傷風(Tetanus)

病原体:破傷風菌
ワクチン:破傷風トキソイド(Tetanus Toxoid)
治療薬:抗毒素、抗生物質など
感染源:土壌、動物の糞などが感染源です。
分布:世界中に分布しています。
感染経路:破傷風はヒトや動物から感染する病気ではありません。空気感染もしません。病原菌は土の中や動物の糞などに潜んでいて傷口から入ります。この菌は酸素があると増殖できません。しかし、気付かない程度の傷でも、酸素が少ない状態になると菌が分裂して増え、テタノスパスミンという毒素を出します。この毒素は神経と神経がつながる場所で、神経伝達を弱める物質と結合します。その結果、刺激の伝達がいつまでも続く状態になり、筋肉が硬直したり、引攣ったりします。刺激の伝達を弱める物質と結合した毒素は抗毒素で中和されないので、抗毒素で治療しても効果がありません。 主な症状:潜伏期は2〜50日(大多数は5〜10日)です。初発症状は、顎のこわばり、嚥下困難、首、腕、脚のこわばりとか頭痛などです。病気が進むと口が開かなくなり、顔の筋肉が引き攣り、笑っている様な表情(痙笑)とか、腹部、首、背中の筋肉の硬直や攣縮が起きます。
治療:静かに看護するのが原則です。抗生物質、抗毒素などで病気の進行を防ぎながら筋肉の硬直を抑える薬を使いますが、治療が難しい、厄介な病気です。致死率は50%と言われています。
予防:怪我をしたら傷口を丁寧に消毒することが重要です。普段から破傷風ワクチンの予防接種をして毒素を中和する抗体を作っておけば心配がありません。世界中で破傷風トキソイドが入っている三種混合ワクチンの定期予防接種が行われています。日本では1968年に三種混合ワクチンの定期接種が開始されました。三種混合ワクチンの接種を受けた人は、10年毎に破傷風ワクチンの追加接種を受ければ免疫が維持されます。受けていない場合には、4週間隔で2回注射を受け、1〜2年後に3回目の注射を受けます。以後、10年ごとに追加接種を受けます。

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レプトスピラ症

病原性レプトスピラの感染症です。世界中に分布していますが、中国、タイ、フィリピン、インド、ブラジルなどで洪水の後などに多発しています。保菌動物はドブネズミなどの野生の小動物です。レプトスピラ菌は保菌動物の尿から排泄されて土壌や水を汚染し、経皮的又は経口的に感染します。発熱その他の全身症状を伴う急性疾患です。軽い場合には感冒様の症状だけで治まりますが、重症例では、黄疸、出血、腎障害、髄膜炎などが発生します。ドキシサイクリンなどの抗菌薬で治療します。不活化ワクチンが作られていますが、菌型が合わないと無効です。危険地域にむやみに立ち入らない、水遊びをしない、素足にサンダル履きは止める、ゴム手袋を着用して作業をするなどの注意が必要です。ドキシサイクリン200mgを、一週間に一回、予防服用する方法もあります。


回虫症

世界中に存在する寄生虫感染症です。成虫は小腸内に寄生し、虫卵は大便と一緒に排泄されます。非衛生的な排泄習慣がある地域では土壌が汚染され、土壌などに存在している虫卵が付着した食べ物の摂取により経口的に感染します。接種された虫卵は小腸で孵化し、体内を循環して成虫になります。小腸で孵化した幼虫は、小腸壁を通過して血液やリンパ液に乗って肺胞に入り、気道を上昇して咽頭から、食道、胃を通過し、小腸に達して留まります。無症状感染が多いとされていますが、小児は腸閉塞を起こすことがあります。駆虫剤治療が行われます。非衛生的な地域では旅行者も感染する危険があります。


鈎虫症

世界中に存在する寄生虫感染症です。成虫は小腸壁に吸着して、長い年月、吸血しながら生きています。虫卵は大便と一緒に排泄されます。非衛生的な排泄習慣がある地域では土壌が汚染され、孵化した幼虫が経皮的に感染し、肺から咽頭に出て、飲み込まれて生息場所である小腸に到達します。かつての日本で、人糞が肥料として使われていた頃はありふれた寄生虫症でした。主な症状は腹痛、貧血、栄養不良などです。駆虫剤で治療します。素足で歩かない、土いじりをしないなどの個人予防もありますが、非衛生的な排泄習慣を止めること、集団駆除などが効果的とされています。

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糞線虫症

熱帯と亜熱帯に広く分布しています。小腸の粘膜下組織に寄生しています。虫卵は産卵後、すぐ孵化し、幼虫が大便と一緒に排泄されます。土壌中でフィラリア型の幼虫に変体し、鈎虫と同様に経皮的に感染し、肺を経由して小腸に到達して成虫になります。このような生活環の他に、土壌中での自由生活、土壌ステージなしでの感染、自家再感染などもあります。腹痛、嘔吐、下痢などが主な症状です。チアベンダゾールなどの駆虫薬で治療します。ワクチンはありません。予防は素足で歩かないこと、非衛生的な排泄習慣を改めることなどです。


住血吸虫症

複雑な生活環を持つ経皮感染性の寄生虫です。ヒトからヒトへの感染はありません。消化器系静脈内の寄生(日本住血吸虫など)と尿路系静脈内の寄生(ビルハルツ住血吸虫)に大別されます。虫卵が腸管とか膀胱の毛細血管に詰まると、粘膜が脱落して大便や尿と一緒に排泄されます。虫卵は淡水中で孵化して幼虫(ミラシジウム)になり、特定の巻貝に感染して分裂増殖し、多数の感染型幼虫(セルカリア)が産生されます。セルカリアは水中に浮遊し、宿主の皮膚に付着して径皮的に感染し、それぞれの生息場所に到達して成虫になります。日本住血吸虫は、日本では撲滅されましたが、中国、フィリピン、タイなどに存在します、他の種の消化器系住血吸虫がラオスとカンボジア、リビアなどを除くアフリカの全域、南米のブラジル、スリナム、ベネズエラなどに存在し、尿路系住血吸虫はインド、中近東、アフリカなどに存在します。感染時に感染部の皮膚炎が起きますが。症状が消えて慢性に経過し、後に、血便、血尿などの症状が現れ、肝硬変、肝癌、膀胱癌の原因になります。ブラジカンテルなどで治療します。ワクチンはありません。汚染地域では水に入らない注意が必要です。


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