森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア活動、観光など、海外 旅行のための予防接種や健康相談などを専門に行っています。

感染症情報

飲食物から感染する病気

1. 胃腸炎

旅行者下痢症
途上国への旅行の際には20〜50%の旅行者が下痢を起します。一部は病原体感染によりますが、大部分は、不安、ストレス、緊張、疲れ、時差、慣れない飲食物などに誘発されます。


下痢を起こす病原体
   ウイルス:ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス
   細   菌:毒素性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、キャンピロ菌、コレラ菌
   寄 生 虫:ジアルジア(ランブル鞭毛虫)、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム


主な症状と治療法:多くの場合、吐き気、嘔吐、腹鳴、腹痛などを伴います。時には発熱や筋肉痛が起きることもあります。ほとんどの場合は軽症で、2〜3日で自然に治ります。重い下痢、発熱、血便などがある場合には医師の診断と治療が必要ですが、軽い場合には脱水に注意しながら様子を見るのがよいでしょう。


予防:旅先では手洗いに努め、食べ物や飲み物に注意し、加熱調理されたものを食べましょう。果物は自分で皮を剥く習慣が大切です。普段から下痢を起しやすい人は無理な日程を避けて休息を十分にとること、水分の補給に気を付けて油っこいものを避けること、暴飲暴食を避け腹八分目に抑えることなどが大切です。


食中毒

細菌やウイルスなどの病原微生物とか、毒キノコ、有毒植物、毒魚、腐敗魚、有毒2枚貝などの多種類の食べ物が原因です。通常、食後間もなく起きます。主な症状は嘔吐と下痢ですが、病原体とか原因物質により、発熱、麻痺、蕁麻疹、急性肝炎などのさまざまな症状が現われます。生ものとか調理後室温に長時間放置されたものは食べない、口に入れて不快なものは飲み込まない、食べた後で気持ちが悪ければ吐き出す、などが自己防衛の原則です。重症の場合とか、発熱、麻痺などが起きた場合などには医師の診断と治療が必要です。
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2.ウイルス感染症
ポリオ
病原体:ポリオウイルス(Poliovirus)
ワクチン:経口ポリオワクチン(Oral Polio Vaccine、OPV)と不活化ポリオワクチン(Inactivated Polio Vaccine、IPV)があります。
治療薬:なし
感染源:ポリオウイルスに汚染された飲食物、オムツ、下着類などが感染源です。
分布:世界保健機関(WHO)とかユニセフなどによる撲滅する事業により野生ウイルスによる麻痺患者の発生地域が狭まり、インド周辺、アラビア半島の一部、アフリカ中部と南部などの一部地域だけです。ちなみにWHO資料による2006年の発生国と発生数は、ナイジェリア(372)、インド(36)、ソマリア(25)、アフガニスタン(10)、パキスタン(3)、ニジェール(3)、バングラデシュ(3)、エチオピア(3)、インドネシア(2)、イエーメン(1)、コンゴ民主共和国(1)、ネパール(1)、などです。大部分の国では根絶されていますが、輸入感染症として発生することがあります。例えば、2005年にインドネシアで多発した麻痺ポリオはアフリカから輸入されたウイルスによるものでした。
感染経路:ポリオウイルスの自然宿主はヒトです。一部に、口腔内で増殖したウイルスによる飛沫感染があるとされていますが、大部分は経口感染です。ウイルスは腸管内で増殖して大便と一緒に排泄されます。排泄されたウイルスが飲食物を汚染して新しい感染に繋がります。腸管内で増殖したウイルスの一部は血流によって中枢神経に運ばれます。
主な症状と治療法:大分の感染は無症状で、発症例は100人に1人程度とされています。典型的な症例では、頭痛、発熱、下痢などの症状に続いて手足の麻痺が現われます。ポリオウイルスは好んで脊髄前核や延髄の運動神経部位を侵すためです。ウイルスの侵襲部位と麻痺部位が対応しています。脊髄下部が侵されると下肢の麻痺、上部が侵されると腕の麻痺、延髄が侵されると呼吸不全、嚥下障害などが発生します。軽度の炎症性の麻痺は回復しますが、神経細胞が侵された場合には、傷害の程度により、軽い麻痺から完全麻痺までのさまざまな程度の後遺症が残ります。治療は対症療法です。
予防:予防ワクチンが効果的です。ポリオウイルスは血清学的に三種類の型に分かれているので、経口ワクチン(OPV)も不活化ワクチン(IPV)も1型、2型、3型の混合ワクチンです。ポリオ撲滅事業にはOPVが使用されましたが、撲滅に成功した後、多くの国はIPVに変更ました。わが国でIPVは使用されていません。


A型肝炎

病原体:A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus, HAV)
ワクチン:不活化A型肝炎ワクチン(Inactivated hepatitis A vaccine, HepA)
治療薬:なし
感染源:A型肝炎ウイルスに汚染された食品とか飲み水が主な感染源です。具体的には、ムール貝、アサリ、カキなどの2枚貝類、野菜、冷凍イチゴなどの生鮮食品、井戸水、潜伏期の感染者が作った寿司、サラダなどの料理です。感染者の下着なども感染源になります。
分布:世界中に分布していますが、途上国に多い病気です。
感染経路:ヒトが自然宿主です。ウイルスは経口的に侵入して肝臓に到達します。肝臓で増えたウイルスは胆汁中に分泌され、胆管経由で腸に入り、体外に排泄されます。A型肝炎ウイルスは体外に排泄された後も長い間生きています。2枚貝類に取り込まれるとか、果物、野菜、食品などに付着して、新しい感染の原因になります。多くの場合散発的に発生しますが、井戸水による集団発生、2枚貝類による流行、調理人とか看護人から広がった集団発生などがあり、特殊例として同性愛者間の発生があります。輸血や血液製剤による感染はまれです。
主な症状と治療法:潜伏期は15〜40日(平均28日)です。潜伏期の後半に、約2週間、ウイルスが大便中に排泄されますが、発病すると停止します。10歳未満は無症状とか軽症が多いとされていますが、年長児や大人は急性肝炎を起こします。突然、38℃以上の発熱があり、ひどい疲れ、食欲がなくなる、吐き気、嘔吐、下痢、黄疸、大便が白くなる、尿が黒くなる、などの症状が現われます。肝臓が腫れ、肝機能検査の数値が上昇します。重い場合には腎臓障害なども起きます。40歳以上は重症例が多く、劇症肝炎は0.2〜0.3%程度とされています。約1か月入院して対症治療とか肝臓庇護治療を受けます。
予防:A型肝炎ウイルスを殺す温度は80℃以上とされています。加熱が不完全な食品は危険です。60歳未満の日本人にはA型肝炎に対する免疫がありません。65歳でも半数が抗体陰性です。A型肝炎の流行地に出かける日本人には予防接種が必要です。
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E型肝炎
病原体:E型肝炎ウイルス(Hepatitis E virus, HEV)
ワクチン:なし
治療薬:なし
感染源:E型肝炎ウイルスに汚染された食べ物とか飲み水が感染源です。
分布:世界中に分布しています。
感染経路:E型肝炎ウイルスは動物に感染しています。野生動物ではシカやイノシシ、家畜ではブタなどが持つとされ、日本ではエゾジカの生肉を食べて発病した例があります。A型肝炎と同様に肝臓の細胞で増えたウイルスが胆汁中に分泌され、糞と一緒に体外に排泄されます。したがって動物の糞で汚染された食物や飲み水からも感染します。輸血や血液製剤による感染は稀です。
主な症状と治療法:無症状の感染者が多いとされています。潜伏期は平均6週間です。A型肝炎に似た一過性の急性肝炎症状が現れます。妊婦が感染すると重症になり死亡することがあります。治療薬はありません。A型肝炎と同様に、入院して対症療法とか肝臓庇護治療を受けます。
予防:予防ワクチンはありません。免疫グロブリンにも予防効果がありません。良く加熱された食品を食べ、生水を飲まなければ感染する危険はありません。


ノロウイルス感染症
病原体:ノロウイルス(Norovirus)
ワクチン:なし
治療薬:なし
感染源:ノロウイルスに汚染された食べ物とか飲み水が感染源です。
分布:世界中に分布しています。
感染経路:汚染された飲食物により感染し、小腸で増殖して下痢を起こします。ヒト以外の自然宿主は知られていません。A型肝炎ウイルスと同様に非常に丈夫なので、排泄されたウイルスにより海水が汚染されると、カキとかアサリなどの2枚貝類に取り込まれ、十分に加熱調理されていない場合には感染します。サラダなどの加熱調理がされていない食材とか飲料水から感染することもあります。
主な症状と治療法:乳児から成人まで幅広く感染します。潜伏期は1〜2日で、吐き気、嘔吐、下痢などが主な症状です。腹痛、頭痛、発熱などの症状を伴うことがありますが、数日後に自然に治ります。整腸剤や痛み止めなどの対症療法以外に特別な治療法はありません。下痢が収まった後、1週間程度ウイルスが排泄されるので2次感染を起こさない注意が必要です。
予防:予防ワクチンはありません。十分に加熱された食品を食べていれば感染する危険はありません。


乳幼児ウイルス下痢症
ロタウイルス、アストロウイルスなどを主な病原体とする乳幼児の下痢症です。患者の排泄物で汚染された下着類などが感染源になります。飛沫感染もあります。世界中に分布している病気で、日本では主に冬季に発生します。風邪を引いたような症状に続いて激しい下痢が起きます。脱水に注意して水分の補給につとめ、安静にしていれば自然に治ります。重症の場合には輸液などの治療を行います。腸管の運動が亢進するので、合併症として、腸重積を起すことがあります。これといった予防法はありません。米国では弱毒生ロタウイルスワクチンが承認され、小児の定期予防接種に使用されています。
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3.細菌感染症


腸チフス
病原体:腸チフス菌
ワクチン:経口弱毒生ワクチン、精製多糖体Vi抗原ワクチン
治療薬:ニューキノロン系抗菌剤、第3世代セファロスポリン類など。
感染源:腸チフス菌に汚染された食物、飲み水などが感染源です。腸チフスが風土病になっている地域では水を介した伝播が多いとされています。保菌者との接触感染もあります。
分布:発展途上国に多い病気です。
感染経路:保菌者の小腸や大腸の粘膜などで菌が増え、大便と一緒に排泄されます。患者の場合には尿中にも排泄されます。排泄された菌に汚染された飲食物からの感染が多いとされています。汚れたシーツや下着からの感染、性交渉による感染などもあります。 主な症状と治療法:腸チフスの潜伏期は、平均、8〜14日です。初期症状は発熱、頭痛、関節痛、咽頭炎、食欲不振、腹痛などで穏やかに始まります。初期症状の発生から2〜3日後に急に熱が上がり、約40℃の高熱が2週間以上続きます。腸チフスの自然経過は1週毎に変化します。1週目には高熱の他に、胸部と腹部の薄いピンク色の病変(バラ疹)、肝・脾腫などが現れ、2週目には無気力な表情(チフス顔貌)、意識障害、皮膚のか皮形成などが現われます。3週目には腸出血、腸穿孔、皮膚の潰瘍形成などが現われます。肺炎とか腸穿孔の合併症などで死亡しなければ、4週目に解熱します。腸チフスには適切な治療が必用です。1週目は血液から、2週目以降は大便と尿からチフス菌が検出されます。菌の検出により診断が確定すればニューキノロン系抗菌剤などで治療します。
予防:腸チフスに限らず、経口感染する病気は、患者と保菌者の適切な取扱い、上下水道の設置と適切な管理などにより減少します。アジア、中東、東欧、アフリカ、中南米などの腸チフスが風土病化している地域では、患者の取扱いが不適切であるとか、保菌者が食堂などで働いているとか、上下水道に問題があると考えられます。この様な地域で生活する場合には、加熱調理のされていない料理、調理後室温で保存された食品などを食べてはいけません。また、水道水も必ず煮沸して飲んでください。最近、薬剤耐性菌の出現が問題になり、予防接種が推奨されています。腸チフスワクチンには経口生ワクチン(Ty21a)と注射(Vi)ワクチンがあります。経口ワクチンは2日間隔で3〜4回服用し、注射ワクチンは1回接種します。どちらも日本では許可されていません。


赤痢
病原体:赤痢菌
ワクチン:なし
治療薬:ニューキノロン系抗菌剤、配合サルファ剤など。
感染源:赤痢菌は感染力が強い菌です。微量の菌で汚染された食物、飲み水なども感染源になります。下痢が風土病になっている地域では水道水も危険です。ビン詰め以外の生水は必ず煮沸して飲んでください。
分布:熱帯とか発展途上国に多い病気です。
感染経路:感染者の大腸の粘膜細胞で菌が増えて病気を起しますが、回復期にも排菌が続きます。保菌者とか、症状の軽い患者の排泄した菌に汚染された飲食物からの感染が多いとされています。汚れたシーツや下着などからの感染もあります。
主な症状と治療法:赤痢の潜伏期は1〜4日です。一般的に幼児は重症ですが大人は軽症です。幼児の場合には、突然、発熱、いらだち、眠気、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、しぶり腹などが始まり、3日以内に血液、うみ、粘液の混じった便を1日に20回以上排便するようになります。脱水、尿毒症、脳症などの合併症で死亡しなければ約2週間で症状が軽快します。大人は、通常、発熱しません。下痢も無血性です。粘液も混じりません。しぶり腹もほとんどなく、約1週間で自然に治ります。赤痢患者には適切な治療が必要です。大便検査で赤痢菌の感染が確定すれば、大人の場合にはニューキノロン系抗菌剤などで治療することになります。小児にはより慎重な治療が行われます。
予防:他の経口感染性の病気と同様に、手をよく洗うこと、加熱調理されていない料理とか室温で保存された食品を食べないこと、煮沸しない水道水を飲まないこと、などが基本です。赤痢菌は4種類の型があるので予防ワクチンの開発は難しい様です。
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コレラ

病原体:O1型、O139型などのコレラ毒素を産生するコレラ菌
ワクチン:不活化ワクチン、経口ワクチンなど。
治療薬:ニューキノロン系抗菌剤など。
感染源:O1およびO139型コレラ菌に汚染された飲み水や食べ物が感染源です。
分布:発展途上国に多い病気です。
感染経路:感染者の大便が汚染源です。O1型菌による古典コレラはインドのベンガル地方から世界中に広がりました。1960年代になり、インドネシアのスラワシ島からO1型エルトール菌によるコレラが広がり、更に、1992年に、インド南部のチェンナイでO139型菌の新コレラが発生しました。現在、エルトールコレラは世界中で発生し、O139型コレラは、インドとバングラデシュを中心に流行しています。 主な症状と治療法:コレラ菌に感染するとその日のうちに発病します。多くの感染者は無症状ですが、軽い下痢で終わるものから、激しい下痢と高度の脱水症状を起こすものまで程度は様々です。典型的な症例は、突然の嘔吐と米のとぎ汁様の激しい下痢で始まります。脱水症状が急速に進行すると循環障害が起きます。下痢によって失われる水分と電解質を補給する治療法が効果的です。ニューキノロン系抗菌剤の投与により下痢の期間とかコレラ菌の排泄期間が短縮します。
予防:コレラは流行地においても貧困層に多い病気です。旅行者がコレラになることはまれですが、下痢が風土病になっている地域では水や食べ物に十分に注意してください。手をよく洗うこと、加熱調理されていない食品とか調理の後で室温保存されていた食品を食べないこと、煮沸されていない水道水を飲まないこと、などが基本です。日本では北里研究所が不活化ワクチンを製造しています。国際保健機関(WHO)は「コレラワクチンは免疫効果が低く頼りにならない。」としていますが、コレラの流行地で発生した災害の取材とか救助、難民キャンプの援助などの特殊な活動目的で出かける人には必要です。最近開発された経口コレラワクチンがEUで承認され、現在、世界の約70か国で使用されている様です。日本では承認されていません。この新ワクチンは、コレラ、毒素原性大腸菌感染症、旅行下痢症などにも効果がある様なので。胃を切除した方、胃腸の弱い方などは、機会があれば旅先などで受けるのが良いでしょう。


下痢原性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管病原性大腸菌(ETPEC)、腸管侵入性大腸菌(EIEC)、毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAEC)の5種類が下痢原性大腸菌に含まれます。ここでは重症下痢症を起こすEHECと旅行者下痢症の主要な病原体とされているETECをとりあげます。
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腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症
1982年に米国で発生した新興感染症です。わが国でも1990年頃から発生しています。原因菌としてはO157菌によるものが最も多く、O26菌、O111菌等もあります。病原大腸菌は赤痢菌毒素と同じベロ毒素と呼ばれる毒素を持っています。赤痢菌はヒトからヒトへの感染が主ですが、大腸菌は多種類の動物も感染しています。家畜が感染すると、食品汚染による食中毒が発生する危険があります。この病気を防ぐためには食品管理、感染者の管理などの外に、家畜の汚物処理なども重要になります。無症状から軽度の下痢、激しい腹痛を伴う頻会の下痢、血便などがあり、6〜7%に脳症や尿毒症などの重篤な合併症が発生します。出血性の下痢が発生した場合には早急な診断と治療が必要です。ワクチンはありません。抗菌剤などで治療します。


毒素性大腸菌(ETEC)下痢症
ETECは飲み水が主な感染源です。途上国では乳幼児下痢症の最も重要な病原体であり、幼若年死亡の主な原因とされています。またこの菌は旅行者下痢症の主な病原体とされています。潜伏期間は12〜72時間です。主な症状は下痢ですが、時に嘔吐もあります。軽い腹痛を伴うことがありますが、発熱は稀です。幼児は重症になり脱水症状を起こすことがあります。予防は十分に加熱された食品を食べること、生水とか氷を避けることです。治療は対症療法が中心で、必要があれば抗菌剤を用います。重症の場合には水分と電解質の補給が必用です。専用ワクチンはありませんが、最近開発された経口コレラワクチンが毒素原性大腸菌感染症の予防にかなり有効とされています。
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4. 寄生動物感染症


アメーバ赤痢
病原体:赤痢アメーバ原虫
ワクチン:なし
治療薬:メトロニダゾールなど。
感染源:赤痢アメーバ嚢子(シスト)に汚染された水、食べ物などです。
分布:熱帯の発展途上国に多い病気です。
感染経路:赤痢アメーバ原虫は大腸管腔や粘膜が寄生部位です。下痢便と一緒に排泄された栄養型アメーバは体外に出ると直ぐ死にますが、シスト型アメーバは、丈夫なので、食物や飲み水を汚染し、新しい感染の原因になります。同性愛者の間に栄養型の直接感染が認められることがあります。
主な症状と治療法:流行地の住民は大部分が無症状です。旅行者がアメーバ原虫に感染すると、腸管粘膜から組織に入り、間欠的な下痢と便秘、腹痛、発熱などが起きます。下痢便は血液や粘液が混ざった水様便で、腹痛は軽いものから激しい痛みまで様々です。慢性化すると肝臓が腫れ、重症化すると肺や脳に感染が広がります。赤痢アメーバに感染した場合には的確な診断と薬による治療が必要です。
予防:シスト型赤痢アメーバは塩素に抵抗性ですが、熱に弱い特徴があります。従って煮沸が効果的です。旅先では手洗いに努め、食べ物や飲み物に注意し、十分に火が通ったものを食べるようにしましょう。果物の皮を自分で剥く習慣が大切です。


ジアルジア症
ランブル鞭毛虫とも呼ばれるジアルジアの感染症です。世界中に分布していますが、熱帯、亜熱帯に多い病気で、旅行者がよく感染します。ジアルジアは下部小腸に寄生する原虫の一種です。赤痢アメーバ原虫と同様に大便と一緒に排泄されたシスト型ジアルジア原虫が、食べ物や飲み水を介して感染します。同性愛者の直接感染も発生します。無症候性感染から急性感染、慢性感染などがありまです。主な症状は下痢、腹痛、吐き気、嘔吐などです。症状が激しい場合には医師の診断と治療が必要です。メトロニダゾールなどで治療します。ワクチンはありません。アメーバ赤痢と同様に、飲み水などに対する注意が必要ですが、ランブル鞭毛虫は家畜や野生動物が主な宿主なので、野生動物の生息地、放牧地などでは、渓流水も感染の危険があります。


クリプトスポリジウム症
この下痢症は世界中に分布しています。クリプトスポリジウムは腸管寄生性の原虫の一種ですが、赤痢アメーバ原虫などと同様に体外に排泄されたシスト型原虫が、食べ物や飲み水を介して感染します。主な症状は下痢、腹痛、吐き気、嘔吐などです。健常人の場合には、多くの場合、治療しないでも1〜2週間後に自然に回復します。症状が激しい場合には医師の診断と治療が必要です。パロモマイシンなどで治療します。ワクチンはありません。ウシ、ブタなどの家畜とかネズミなどの野生動物が感染しているので、河川とか浅井戸の水は汚染していると考えるべきです。飲み水に注意を払うこと、下痢便の取り扱いに注意すること、手洗いを励行することなどが重要です。
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