森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア、観光旅行など、海外渡航の予防接種や健康相談などを専門に行い、往診にも対応しています。

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南米熱帯地域の感染症と予防接種

1.対象国、地域
 

ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、仏領ギアナ、ガイアナ、パラグアイ、
ペルー、スリナム、ベネズエラ

 
2.予防接種が有効な感染症の状況
 

この地域は、黄熱、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、狂犬病などのリスク地です。
コロンビア、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナは全土が黄熱のリスク地です。
エクアドル、ペルー、ボリビアのアンデス山脈より東側の地域、ブラジルの大部分、パラグアイとアルゼンチンの一部地域も黄熱のリスク地です。
日本脳炎のリスク地はありません。
野生ポリオは常在していません。

 
3.お勧めの予防接種
 

黄熱

リスク国、又は、リスク地域への旅行者

破傷風

短期旅行者を含む全旅行者

A型肝炎

短期旅行者を含む全旅行者

B型肝炎

長期滞在予定者 (医療関係者は短期でも推奨)

腸チフス

短期旅行者を含む全旅行者

狂犬病

1か月以上の滞在予定者
サイクリング、ハイキング、キャンピングその他の野外活動を計画している旅行者、野生動物保護活動家と獣医師、動物に興味を持つ幼児などは短期でも推奨

髄膜炎

ブラジル、ベネズエラ、パラグアイなどでは流行時に小児に接種されます。
流行情報に注意し、リスク時に四価(A/C/Y/W125)製剤

麻疹、風疹、水痘おたふくかぜ

予防接種を受けていないか1回だけ受けた人、
特に20歳未満の発病歴が無い人

コレラ

流行情報に注意し、リスク時には経口製剤

インフルエンザ

60歳以上 (毎年受けていれば必要なし)

肺炎球菌(23価)

65歳以上

 
4.同伴されるお子様の予防接種(接種時期、回数)
 

外国では日本の定期予防接種だけでは不十分な場合があります。必要な予防接種の種類と回数は旅行期間などにより違います。下表に示した予防接種の種類、接種時期、回数などを参考にしてお選びください。

 

BCG

0−6月 (1回)

経口ポリオ(OPV)

3−8月、9−14月
現地校に入学する場合に3回目が必要なことがある。
ブラジル、コロンビア、ガイアナ、ウルグアイの4か国はOPVとIPV
他はOPV

 ジフテリア・破傷風・
 百日咳混合(DTaP)

3−5月、4ー7月、5−8月、17−26月、4−6歳
この地域の製剤はDTwP
(実際はDTwPにHib、IPVなどを加えた製品)

ジフテリア・破傷風混合(DT)

11‐12歳 (1回) 
以後は5−10年毎に破傷風トキソイドを追加
ブラジルではTdとTdap、他はTd

麻疹・風疹混合(MR)

12−14月、4−19歳
この地域の製剤は「おたふくかぜ」入りのMMR
最近、水痘を加えた新製剤(MMRV)が登場

おたふくかぜ(Mumps)

12−24月、4−19歳

水痘(Varicella)

12−24月、4−19歳

Hib

2月以上 (3回)

インフルエンザ

毎年2回 (13歳以上は1回でも良い)

B型肝炎

3月以上 (3回)

A型肝炎

1歳以上 (2回)

腸チフス

2歳以上

狂犬病

年齢規定なし

肺炎球菌(7価)

2月、4月、6月、12‐15月
未接種者と回数不足者は2-5歳時に1回
6歳以上は必要なし

ロタウイルス

生後6‐24週齢から2回接種する製剤
生後2月、4月、6月の3回接種製剤の2種類
8月齢以上は必要なし

髄膜炎

四価(A/C/Y/W135)多糖体製剤と結合製剤は2歳以上
単価結合製剤(MenC)は2月齢以上

 
5.マラリア
 

海抜1800メートル以上の高地と大都市を除く大分の地域は熱帯熱マラリアのリスク地です。
マラリアの主な症状は発熱、悪寒、発汗、頭痛、体の痛み、嘔気・嘔吐、疲労感などですが、熱帯熱は脳症を併発して死亡することがあり、非常に危険です。
長袖の衣服、蚊取り線香、昆虫忌避剤、蚊帳の使用など、蚊に刺されないための用心と予防薬の準備が必要です。
僻地に滞在する際には緊急待機治療薬を携行する必要があります。
ブラジルのアマゾン河口北部地域から仏領ギアナとスリナムの一帯はクロロキンとメフロキンに抵抗性の多剤耐性熱帯熱マラリアのリスク地です。この地域では予防薬と待機治療薬の選択に注意してください。

 
6.ワクチンにより予防できない感染症
 

経口感染症

この地域は、赤痢、腸チフス、コレラ、病原性大腸菌感染症、アメーバ赤痢、ジアルジア症などの多種の経口感染性疾患のリスク地です。旅行中はストレスを避け、食事の前に手を洗い、沸騰させた湯、瓶詰めの水、炭酸飲料などを飲み、十分に加熱調理された食事を摂るなどの注意が必要です。生水を飲んではいけません。氷も危険です。

昆虫媒介感染症

この地域には、マラリア、デング熱、フィラリア症、オンコセルカ症などの蚊が媒介する疾患、サシガメが媒介するシャガス病、サシチョウバエが媒介するリューシマニア症などが存在します。これらの昆虫媒介性疾患に感染しないためには、長ズボン、長袖シャツ、帽子の着用、昆虫避けスプレー剤とか蚊取り線香の使用などにより、虫刺されから身を守る必要があります。エアコンとか昆虫避けの網戸が設置された部屋の使用、ペルメトリン処理が施された蚊帳の使用なども重要です。

動物からの感染症

この地域の代表的な動物由来感染症は狂犬病です。野犬、その他の野生動物は勿論危険ですが、飼い犬、飼いネコ、その他の一見健康そうに見えるペット類も危険です。咬まれたり、引掻かれたりした場合には、直ちに石鹸でよく洗い、医師のところに駆け付けて、手当てを受けてください。狂犬病の予防接種を受けていても、咬まれた場合には追加接種が必要です。

性感染症、輸血・
薬物乱用感染症

B型肝炎、HIV/AIDS、クラミジア、淋病、梅毒、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス感染症など多くの病気があります。
空気・飛沫感染症 この地域は肺結核のリスク地です。感染の疑いが生じた場合には健康診断を受けてください。

経皮感染症

住血吸虫症、レプトスピラ症などが存在するので河川とか湖に素足で入るのは危険です。水泳は勿論危険ですが、激流下りなどのスポーツも危険です。
 
7.世界保健機関(WHO)のアウトブレーク情報(抜粋)
 
2008年4‐5月にブラジルでデング熱とデング出血熱が発生
デング熱(発病:120,570人)、デング出血熱(確定:647人、死亡:48人)
2008年にパラグアイで黄熱が発生 (確定:22人、死亡:6人、検査中:12人)
2008年にブラジルで黄熱が発生 (発生:48人、死亡:13人)
2004年にベネズエラで黄熱が発生 (確定:2人、死亡:1人)
2003年にブラジルで黄熱が発生 (発病24人、死亡:5人)
2002年にブラジルでデング熱が発生
(発病:317787人、出血熱:571人、死亡:57人)
2002年にエクアドルでデング熱が発生 
(発病:5833人、出血熱:158人、死亡:不明)
2001年にブラジルで黄熱が発生 (発病:35人、死亡:6人)
2001年にペルーで黄熱が発生 (発病:20人、死亡:2人)
2000年にブラジルで黄熱が発生 (確定:5人、死亡:2人)
1999年にボリビアで黄熱が発生 (確定:41人、死亡:14人)