森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア、観光旅行など、海外渡航の予防接種や健康相談などを専門に行い、往診にも対応しています。

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中近東の感染症と予防接種

1.対象国、地域
 

バーレイン、キプロス、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クエート、レバノン、
オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、アラブ首長国連合、イエーメン

 
2.予防接種が有効な感染症の状況
 

この地域には飲食物から感染するA型肝炎、腸チフス、コレラなどが存在します。
B型肝炎、狂犬病、流行性髄膜炎などにも注意が必要です。
麻しんが多い地域です。
黄熱、日本脳炎などのリスクはありません。
メッカ巡礼の季節には髄膜炎、インフルエンザなどのリスクが大きくなります。

 
3.お勧めの予防接種
 

破傷風

短期旅行者を含む全旅行者

A型肝炎

短期旅行者を含む全旅行者

B型肝炎

1か月以上の滞在予定者 (医療関係者は短期でも推奨)

腸チフス

短期旅行者を含む全旅行者

狂犬病

1か月以上の滞在予定者
サイクリング、ハイキング、キャンピングその他の野外活動を計画している旅行者、野生動物保護活動家と獣医師、動物に興味を持つ幼児などは短期でも推奨

髄膜炎

サウジアラビアはメッカ巡礼者に予防接種を要求
四価(A/C/Y/W135)製剤が適当
巡礼者以外は発生情報に注意

コレラ

この地域の旅行者は流行情報に注意する必要があります。
(危険がある場合には経口ワクチンを推奨)

ポリオ

1975−1977年生れは追加接種

麻疹、風疹、水痘おたふくかぜ

予防接種を受けていないか1回だけ受けた人、
特に20歳未満の発病歴が無い人

インフルエンザ

60歳以上 (毎年受けていれば必要なし)

肺炎球菌(23価)

65歳以上

 
4.同伴されるお子様の予防接種(接種時期、回数)
 

外国では日本の定期予防接種だけでは不十分な場合があります。必要な予防接種の種類と回数は旅行期間などにより違います。下表に示した予防接種の種類、接種時期、回数などを参考にしてお選びください。

 

BCG

0−6月 (1回)

経口ポリオ(OPV)

3−8月、9−14月
国際校に入学する場合に3回目が必要なことがある
この地域はOPV使用国が多い
バーレイン、イラク、ヨルダン、クエート、カタール、サウジアラビアなどでは不活化製剤(IPV)の併用、又はIPVに転換中
イスラエルはIPV

 ジフテリア・破傷風・
 百日咳混合(DTaP)

3−5月、4ー7月、5−8月、17−26月、4−6歳
この地域はDTwP採用国が大多数
バーレインとイスラエルはDTaP

ジフテリア・破傷風混合(DT)

11‐12歳 (1回) 
以後は5−10年毎に破傷風トキソイドを追加
外国ではTd又はTdapが多い

麻疹・風疹混合(MR)

12−14月、4−19歳
現地の製剤は「おたふくかぜ」入りのMMR
最近、水痘を加えた新製剤(MMRV)が登場

おたふくかぜ(Mumps)

12−24月、4−19歳

水痘(Varicella)

12−24月、4−19歳

Hib

2月以上 (3回)

インフルエンザ

毎年2回 (13歳以上は1回でも良い)

B型肝炎

3月以上 (3回)

A型肝炎

1歳以上 (2回)

腸チフス

2歳以上

狂犬病

年齢規定なし

コレラ

2歳以上

肺炎球菌(7価)

2月、4月、6月、12‐15月
未接種者と回数不足者は2-5歳時に1回
6歳以上は必要なし

ロタウイルス

生後6‐24週齢から開始して2回接種する製剤と、生後2月、4月、6月の3回接種製剤の2種がある
8月齢以上は必要なし

髄膜炎

四価(A/C/Y/W135)多糖体製剤と結合製剤は2歳以上
単価結合製剤(MenC)は2月齢以上

 
5.マラリア
 

・一部に熱帯熱マラリアのリスク地があります。
・マラリアの主な症状は発熱、悪寒、発汗、頭痛、体の痛み、嘔気・嘔吐、疲労感
 などですが、熱帯熱は脳症を併発して死亡することがあるので非常に危険です。
・蚊に刺されないために、長袖の衣服の着用、蚊取り線香、昆虫忌避剤、蚊帳など
 の用意が必要です。
・予防薬の準備も必要です。

 
5.ワクチンにより予防できない感染症
 

経口感染症

この地域は腸チフスとかコレラ以外に、赤痢、、病原性大腸菌感染症、アメーバ赤痢、ジアルジア症などの多種の経口感染症のリスク地です。旅行中はストレスを避け、食事の前に手を洗い、沸騰させた湯、瓶詰めの水、炭酸飲料などを飲み、十分に加熱調理された食事を摂るなどの注意が必要です。生水を飲んではいけません。氷も危険です。

昆虫媒介感染症

この地域には、蚊が媒介するマラリア、デング熱、西ナイル熱などがあります。サシチョウバエが媒介するリューシマニア症(皮膚型)も存在します。
これらの昆虫媒介性疾患に感染しないためには、長ズボン、長袖シャツ、帽子の着用、昆虫避けスプレー剤とか蚊取り線香の使用などにより、虫刺されから身を守る必要があります。エアコンとか昆虫避けの網戸が設置された部屋の使用、ペルメトリン処理が施された蚊帳の使用なども重要です。

動物からの感染症

この地域の代表的な動物由来感染症は狂犬病です。野犬、その他の野生動物は勿論危険ですが、飼い犬、飼いネコ、その他の一見健康そうに見えるペット類も危険です。咬まれたり、引掻かれたりした場合には、直ちに石鹸でよく洗い、医師のところに駆け付けて、手当てを受けてください。狂犬病の予防接種を受けていても、咬まれた場合には追加接種が必要です。

性感染症、輸血・
薬物乱用感染症

B型肝炎、HIV/AIDS、クラミジア、淋病、梅毒、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス感染症など多くの病気があります。
空気・飛沫感染症 メッカ巡礼の季節には、髄膜炎とインフルエンザの他に結核にも注意が必要です。感染の疑いが生じた場合には健康診断を受けてください。

経皮感染症

住血吸虫症が存在するので河川とか湖に素足で入るのは危険です。水泳は勿論危険ですが、激流下りなどのスポーツも危険です。
 
6.世界保健機関(WHO)のアウトブレーク情報(抜粋)
 
2008年にイラクでコレラが発生 (9月末までの確定患者:341人、死亡:5人))
2007年にイラクでコレラが発生 (発病:30,000人以上、確定:3,315人、死亡:14人)
2006年にイラクでトリインフルエンザA/H5N1患者が発生 (発病:3人、死亡:2人)
2006年にトルコでトリインフルエンザA/H5N1患者が発生 (発病:21人、死亡:2人)
2006年にトルコでクリミヤ・コンゴ出血熱が発生 (発病:246人、死亡:20人)
2005年にイエーメンで野生型麻痺ポリオが発生 (発症:179人)
2003年にイラクでコレラが発生 (発生数:不明、確認数:22人)
2001年にハジ巡礼者にW135髄膜炎が発生 (確認数:198人、死亡:46人)
2000年にハジ巡礼者にW135髄膜炎が発生 (確認数:330人、死亡:71人)
2000年にサウジアラビアでリフトバレー熱が発生 (発病:443人、死亡:85人)
2000年にイエーメンでリフトバレー熱が発生 (発病:653人、死亡:80人)
2000年にイスラエルで西ナイル熱が発生 (発病:151人、死亡:12人)
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