森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア、観光旅行など、海外渡航の予防接種や健康相談などを専門に行い、往診にも対応しています。

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東欧の感染症と予防接種

1.対象国、地域
 

アルバニア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、グルジア、ハンガリー、カザフスタン、キルギスタン、ラトビア、リトアニア、マケドニア、ポーランド、モルドバ、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、スロベニア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタン

 
2.予防接種が有効な感染症の状況
 

この地域はA型肝炎、B型肝炎、腸チフス、狂犬病などのリスク地です。
ロシアの極東地域の一部が日本脳炎のリスク地とされています。
この地域の森林で春から夏の季節にダニ脳炎のリスクが発生します。
黄熱のリスク地はありませんが、アルバニアとカザフスタンはリスク国からの入国者にイエローカードを要求しています
野生ポリオは撲滅されています。
1990年代に発生した旧ロシア連邦諸国のジフテリアのアウトブレークは、予防接種により制圧されています。

 
3.お勧めの予防接種
 

破傷風

短期旅行者を含む全旅行者

A型肝炎

短期旅行者を含む全旅行者

B型肝炎

1か月以上の滞在予定者 (医療関係者は短期でも推奨)

腸チフス

短期旅行者を含む全旅行者

日本脳炎

夏季にロシア極東地域で野外研究、キャンピングその他のアウトドア活動に従事する場合

狂犬病

1か月以上の滞在予定者
(サイクリング、ハイキング、キャンピングその他の野外活動を計画している旅行者、野生動物保護活動家と獣医師、動物に興味を持つ幼児などは短期でも推奨)

ダニ脳炎

春から夏の時期に森林地帯で野外研究、キャンピングその他のアウトドア活動に従事する場合

麻疹、風疹、水痘おたふくかぜ

予防接種を受けていないか1回だけ受けた20歳未満の旅行者、特に発病歴が無い人

インフルエンザ

60歳以上 (毎年受けていれば必要なし)

肺炎球菌(23価)

65歳以上

 
4.同伴されるお子様の予防接種(接種時期、回数)
 

外国では日本の定期予防接種だけでは不十分な場合があります。必要な予防接種の種類と回数は旅行期間などにより違います。下表に示した予防接種の種類、接種時期、回数などを参考にしてお選びください。

 

BCG

0−6月 (1回)

経口ポリオ(OPV)

3−8月、9−14月
現地校とか国際校に入学する場合に3回目が必要なことがある
ベラルーシ、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、ラトビア、ポーランド、ロシア、セルビア、トルコ、ウクライナなどはIPVに移行中
ハンガリー、リトアニア、スロバキア、スロベニアはIPV

 ジフテリア・破傷風・
 百日咳混合(DTaP)

3−5月、4ー7月、5−8月、17−26月、4−6歳
大多数はは百日咳菌体が混合されたDTwPを使用しているが、ブルガリア、チェコ、エストニア、ラトビア、ポーランド、スロバキア、トルコなどはDTaPに移行中
ハンガリー、リトアニア、スロベニア、ウクライナはDTaP

ジフテリア・破傷風混合(DT)

11‐12歳 (1回) 
以後は5−10年毎に破傷風トキソイドを追加
外国ではTd又はTdapが多い

麻疹・風疹混合(MR)

12−14月、4−19歳
現地の製剤は「おたふくかぜ」入りのMMR
最近、水痘を加えた新製剤(MMRV)が登場

おたふくかぜ(Mumps)

12−24月、4−19歳

水痘(Varicella)

12−24月、4−19歳

Hib

2月以上 (3回)

インフルエンザ

毎年2回 (13歳以上は1回でも良い)

B型肝炎

3月以上 (3回)

A型肝炎

1歳以上 (2回)

腸チフス

2歳以上

狂犬病

年齢規定なし

コレラ

2歳以上

肺炎球菌(7価)

2月、4月、6月、12‐15月
未接種者と回数不足者は2-5歳時に1回
6歳以上は必要なし

ロタウイルス

生後6‐24週齢から開始して2回接種する製剤と、生後2月、4月、6月の3回接種製剤の2種がある
8月齢以上は必要なし

髄膜炎

四価(A/C/Y/W135)多糖体製剤と結合製剤は2歳以上
単価結合製剤(MenC)は2月齢以上
セルビアとスロベニアはMenACを使用

 
5.マラリア
 

アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、ウズベキスタンなどにマラリアのリスク地があります。夏季が好発期です。熱帯熱マラリアはありません。
マラリアの主な症状は発熱、悪寒、発汗、頭痛、体の痛み、嘔気・嘔吐、疲労感などです。夏季にリスク地での野外活動を計画している場合には、長袖の衣服、蚊取り線香、昆虫忌避剤、予防薬などを用意してください。
メフロキン、ビブラマイシンなど一部の予防薬は日本で購入できます。
外国で購入する場合は偽薬に注意してください。

 
6.ワクチンにより予防できない感染症
 

経口感染症

この地域は、腸チフス、赤痢、病原性大腸菌感染症、コレラ、アメーバ赤痢、ジアルジア症などの多種の経口感染性疾患のリスク地です。旅行中はストレスを避け、食事の前に手を洗い、沸騰させた湯、瓶詰めの水、炭酸飲料などを飲み、十分に加熱調理された食事を摂るなどの注意が必要です。生水を飲んではいけません。氷も危険です。

昆虫媒介感染症

この地域では、日本脳炎のリスク地は極東ロシアに限定されています。デング熱のリスク地はありません。ライム病、ペスト、ダニ媒介性脳炎が主な昆虫媒介性感染症です。長ズボン、長袖シャツ、帽子の着用、昆虫避けスプレー剤の使用などにより、媒介昆虫であるノミとかマダニから身を守る必要があります。

動物からの感染症

狂犬病が最も重要な動物由来感染症です。野犬とか野生動物だけでなく、飼い犬、飼いネコ、その他の一見健康そうなペット類も病原ウイルスを持っていることがあります。動物に咬まれたり、引掻かれたりした場合には、先ず傷口を石鹸でよく洗い、それから病院に駆け付けて手当てを受けてください。予防接種を受けていても咬傷事故の際には追加接種が必要です。アゼルバイジャンなどでトリインフルエンザ感染症が発生しています。中国新疆ウイグル地区との隣接地域を含めてトリインフルエンザの危険地帯と疑われています。野兎病もこの地域に多い動物由来感染症です。

性感染症、輸血・
薬物乱用感染症

B型肝炎、HIV/AIDS、クラミジア、淋病、梅毒、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス感染症など多くの病気があります。B型肝炎とかHIV/AIDS感染が多い地域です。。
空気・飛沫感染症 インフルエンザとか肺結核が重要です。結核感染が疑われる場合には健康診断を受けてください。

経皮感染症

破傷風の他には問題がないようです。
 
7.世界保健機関(WHO)のアウトブレーク情報(抜粋)
 
2006年にアゼルバイジャンでトリインフルエンザA/H5N1患者が発生
(発病:8人、死亡:5人)
2000-2002年にコソボで野兎病が発生 (発病:715人)
2000年にハンガリーで流行性髄膜炎が発生
1998年にアルメニアでコレラが発生
1998年にキルギスタンで腸チフスが発生
1996年にタジキスタンで腸チフスが発生