森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア、観光旅行など、海外渡航の予防接種や健康相談などを専門に行い、往診にも対応しています。

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アフリカ東部の感染症と予防接種

1.対象国、地域
 

ブルンジ、コモロ諸島、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、マダガスカル、
マイヨット島、レユニオン、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ルワンダ、
セイシェル、ソマリア、タンザニア、ウガンダ

 
2.予防接種が有効な感染症の状況
 

この地域全体がA型肝炎、B型肝炎、腸チフス、狂犬病などのリスク地です。ブルンジ、エチオピア、ケニア、ルワンダ、ソマリア、タンザニア、ウガンダの7国は黄熱のリスク国です。
エリトリア、マダガスカル、マラウイ、ソマリア、ブルンジ、ジブチ、エチオピア、ケニア、モーリシャス、モザンビーク、レユニオン、セイシェル、タンザニア、ウガンダなどはリスク国からの入国者に国際予防接種証明書(イエローカード)を要求しています。
エリトリアとエチオピアの西部、及び、ウガンダとケニアの北部は髄膜炎ベルト地帯に含まれています。12月から6月までが流行期です。主な起因菌はA群ですが、C群とW135群もあります。
2003年以来、エチオピア、ソマリア、ケニアなど、東部アフリカ諸国で野生ポリオが再登場しています。
この地域はペストの常在地です。2000年以来、マダカスカル、マラウイ、モザンビーク、タンザニアなどで散発的発生とか小流行が反復しています。
日本脳炎のリスクはありません。

 
3.お勧めの予防接種
 

黄熱

ブルンジ、エチオピア、ケニア、ルワンダ、ソマリア、タンザニア、ウガンダなどへの渡航者

破傷風

短期旅行者を含む全旅行者

A型肝炎

短期旅行者を含む全旅行者

B型肝炎

1か月以上の滞在予定者 (医療関係者は短期でも推奨)

腸チフス

短期旅行者を含む全旅行者

狂犬病

1か月以上の滞在予定者
サイクリング、ハイキング、キャンピングその他の野外活動を計画している旅行者、野生動物保護活動家と獣医師、動物に興味を持つ幼児などは短期でも推奨

髄膜炎

エリトリアとエチオピアの西部、及び、ウガンダとケニアの北部などのリスク地域に6か月以上の滞在予定者
12月から6月までの流行期に同地域を旅行する場合は短期でも推奨
ワクチンA/C/Y/W135を含む多糖体又は結合型四価製剤

ポリオ

1975−1977年生まれの人、及び、エチオピア、ソマリア及び隣接国への旅行者は追加接種

コレラ

アンゴラ、スーダンへの旅行者は流行情報に注意し、
リスク発生時には経口ワクチン接種

麻疹、風疹、水痘おたふくかぜ

予防接種を受けていないか1回だけ受けた20歳未満の旅行者、特に発病歴が無い人

ペスト

この地域で医療活動とか野生げっ歯類の調査研究などに従事する人

インフルエンザ

60歳以上 (毎年受けていれば必要なし)

肺炎球菌(23価)

65歳以上

 
4.同伴されるお子様の予防接種 (種類、推奨接種時期、回数)
 

外国では日本の定期予防接種だけでは不十分な場合があります。必要な予防接種の種類と回数は旅行期間などにより違います。下表に示した予防接種の種類、接種時期、回数などを参考にしてお選びください。

 

黄熱

1歳以上 (リスク地へ渡航する場合)

BCG

0−6月 (1回)

経口ポリオ(OPV)

3−8月、9−14月
エチオピアとソマリアへの渡航者は3回目の追加
(隣接地域に渡航する場合も望ましい)

 ジフテリア・破傷風・
 百日咳混合(DTaP)

3−5月、4ー7月、5−8月、17−26月、4−6歳
現地のワクチンはDTwP

ジフテリア・破傷風混合(DT)

11‐12歳 (1回) 
以後は5−10年毎に破傷風トキソイドを追加
この地域の製剤はTd

麻疹・風疹混合(MR)

12−14月、4−19歳
現地の製剤は「おたふくかぜ」入りのMMR
最近、水痘を加えた新製剤(MMRV)が登場

おたふくかぜ(Mumps)

12−24月、4−19歳

水痘(Varicella)

12−24月、4−19歳

Hib

2月以上 (3回)

インフルエンザ

毎年2回 (13歳以上は1回でも良い)

B型肝炎

3月以上 (3回)

A型肝炎

1歳以上 (2回)

腸チフス

2歳以上

狂犬病

年齢規定なし

コレラ

2歳以上

肺炎球菌(7価)

2月、4月、6月、12‐15月
未接種者と回数不足者は2-5歳時に1回
6歳以上は必要なし

ロタウイルス

生後6‐24週齢から開始して2回接種する製剤と、生後2月、4月、6月の3回接種製剤の2種がある
8月齢以上は必要なし

髄膜炎

四価(A/C/Y/W135)多糖体製剤と結合製剤は2歳以上
単価結合製剤(MenC)は2月齢以上

 
5.マラリア
 

標高2000メートル以下の地域は熱帯熱マラリアのリスク地です。
マラリアの主な症状は発熱、悪寒、発汗、頭痛、体の痛み、嘔気・嘔吐、疲労感などですが熱帯熱は脳症を併発して死亡することがあるので、非常に危険です。
長袖の衣服、蚊取り線香、昆虫忌避剤、蚊帳の使用など、蚊に刺されないための用心と予防薬の準備が必要です。
僻地に滞在する際には緊急待機治療薬を携行する必要があります。
メフロキン、ビブラマイシンなど一部の予防薬は日本で購入できます。
外国で購入する場合は偽薬に注意してください。

 
6.ワクチンにより予防できない感染症
 

経口感染症

この地域は、赤痢、病原性大腸菌感染症、アメーバ赤痢、ジアルジア症などの多種の経口感染性疾患のリスク地です。旅行中はストレスを避け、食事の前に手を洗い、沸騰させた湯、瓶詰めの水、炭酸飲料などを飲み、十分に加熱調理された食事を摂るなどの注意が必要です。生水を飲んではいけません。氷も危険です。

昆虫媒介感染症

この地域には、黄熱、マラリア、デング熱、リフトバレー熱、チクングニア熱、フィラリア症、オンコセルカ症などの蚊が媒介する疾患、マダニが媒介するクリミヤ・コンゴ出血熱、ツェツェバエが媒介する睡眠病、サシチョウバエが媒介するリューシマニア症などが存在します。これらの病気に感染しないためには、長ズボン、長袖シャツ、帽子の着用、昆虫避けスプレー剤とか蚊取り線香の使用などにより、虫刺されから身を守る必要があります。エアコンとか昆虫避けの網戸が設置された部屋の使用、ペルメトリン処理が施された蚊帳の使用なども重要です。野生小動物の調査研究などに従事する場合にはペスト対策が必要です。

動物からの感染症

この地域で食用にされている大型コウモリがエボラ出血熱、マールブルグ熱などの自然宿主とされています。鉱山での発生とか洞窟探検旅行者の発病などがあるのでコウモリ類は危険です。狂犬病もコウモリから感染することがあります。野犬その他の野生動物は勿論ですが、飼い犬、飼いネコ、その他の一見健康そうなペット類も危険です。咬まれたり、引掻かれたりした場合には、先ず傷口を石鹸でよく洗い、それから病院で手当てを受けるようにしてください。

性感染症、輸血・
薬物乱用感染症

B型肝炎、HIV/AIDS、クラミジア、淋病、梅毒、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス感染症など多くの病気があります。またHIV/AIDS感染が非常に多い地域です。
空気・飛沫感染症 髄膜炎には特定の危険地域がありますが、肺結核は全体がリスク地域です。感染の疑いが生じた場合には健康診断を受けてください。

経皮感染症

住血吸虫症、レプトスピラ症などが存在するので河川とか湖に素足で入るのは危険です。水泳は勿論危険ですが、激流下りなどのスポーツも危険です。
 
7.世界保健機(WHO)のアウトブレーク情報(抜粋)
 
2008年にウガンダの洞窟を探検したオランダ女性がマールブルグ病を発症した。
2008年にマダカスカルでリフトバレー熱が発生
(2008/4までの発症:418人、確定:59人、死亡:17人)
2007/12‐2008/1にウガンダで髄膜炎が発生 (発症:418人、死亡:17人)
2007年にウガンダでエボラ出血熱が発生、2008年2月に終息
(発病:93人、死亡:22人)
2007年にウガンダの鉱山でマールブルグ病が発生 (確定患者:1人)
2007年にケニア、ソマリア、タンザニアでリフトバレー熱が発生
(確定患者:1062人、死亡:315人)
2006/12‐2007/1にウガンダで髄膜炎が発生 (発病:216人、死亡:16人)
2006年にエチオピアでコレラが発生 (発症:22101人、死亡:219人)
2006年にケニアで髄膜炎が発生 (発病:74人、死亡:15人)
2006年にモーリシャス、セイシェル、マイヨット、レユニオンでチクングニャ熱が発生
2006年にジブチでトリインフルエンザAH5N1患者が発生
2006年にソマリアで麻痺ポリオが発生 (発病:215人)
2004-2006年の間にエチオピアで麻痺ポリオが発生 (37例)
2004年にブルンジとモザンビークでコレラが発生(発病:約20000人、死亡:約100人)
2004年にケニアでレプトスピラ症が発生 (発病:141人、死亡:6人)
2003年にウガンダとモザンビークでコレラが発生 (発病:12000人、死亡:120人)
2002年にブルンジ、ルワンダなどで髄膜炎が発生 (発病:1558人、死亡:155人)
2002年にマラウイで腺ペストが発生 (発病:71人)
2002年にマラウイでコレラが発生 (発病:773人、死亡:41人)
2001年にソマリアで髄膜炎が発生 (発病:49人、死亡:6人)
2001年にタンザニアでコレラが発生 (発病:109人、死亡:3人)
2001-2002年の間にエチオピアで髄膜炎が発生 (発病:2329人、死亡:118人)
2000年にウガンダでエボラ出血熱が発生 (発病:425人、死亡:224人)
2000年にエチオピアで髄膜炎が発生 (確定311人、A群:90%、C群:10%)
2000年にエチオピアで炭疽が発生 (発生地は牧畜地、人数等不明)
2000年にソマリアでコレラが発生 (発病:272人、死亡:14人)
2000年にマダカスカルでコレラが発生 (発病:15173人、死亡:860人)